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クラウドファンディング特別対談「読み書き困難な子たちの挑戦」をオンライン配信しました

Minecraftカップのクラウドファンディングにご支援いただいた橋本真弓さん(エンカレッジ桃花台・愛知県小牧市)との対談リターンをきっかけに、読み書き困難(ディスレクシア)をテーマにしたオンライン配信イベントを実施しました。

当初は橋本さんの地元・愛知での対談を予定していましたが、「せっかくならもっと広く知ってもらおう」と、YouTube Liveでの公開配信へと発展しました。読み書き困難について、支援の現場・当事者の声・テクノロジーの3つの視点からお届けした約90分のイベントです。


指導者の視点「マインクラフトの中で、子どもたちは変わる」

橋本さんは、Microsoft製品を中心に学ぶプログラミング教室と、読み書き困難のお子さん向けの学習塾を運営されています。Minecraftカップには3年前から参加し、今年は東海ブロック大会まで進出しました。教室のコンセプトは「習ったことが大人になってもそのまま使える」こと。夏祭りのDX化やPower BIでの売上集計など、実践的な活動が特徴です。

続いて、一般社団法人 読み書き配慮 代表の菊田史子さんが登壇。ディスレクシアの基礎知識を解説いただきました。

読み書き困難がある子どもの割合は全体の6〜8%。40人学級に2〜3人で、左利きとほぼ同じ出現率です。しかし日本の大学生に占める読み書き困難者はわずか0.0095%。多くの子どもたちが学びへの意欲を失い、進学の道が閉ざされている実態があります。

菊田さんは「左利きの人に左利き用のハサミがあるように、読み書き困難な子どもたちにも合った道具を渡せばいいだけ。障害ではなく道具の違い」と強調されました。

橋本さんの教室にも読み書き困難のお子さんがいますが、Minecraftの活動では特別な配慮なしに全員が同じように取り組めています。文字情報に依存しないマイクラは、読み書きの得意・不得意に関係なく力を発揮できる場所になっています。


当事者の視点「ぼく・わたしの学び方は、こんな感じ」

慶應義塾大学大学院で防災社会デザインを研究する濱地音安さんが、当事者として体験を語ってくれました。高校2年生の時の検査では、読みのスピードは小学1年生以下程度。25分間読み続けると気絶してしまうほどの負荷がかかっていたそうです。診断がつくまでは「自分はバカなんだ」と思い込み、大学には行かないだろうと考えていた時期もあったと言います。

転機は高校2年生で母親からディスレクシアだと告げられ、東京大学主催の「DO-IT Japan」に参加したこと。そこで合理的配慮という言葉を知り、仲間に出会い、自分の困難さに初めて気づきました。紙と鉛筆の試験では力を発揮できないと判断し、総合型選抜一本に絞って慶應義塾大学に合格。現在は同じ困難を持つ子どもたちの支援活動も行っています。

「自分1人だけじゃないということを知ってほしい。大きくなれば勉強以外の判断基準もたくさん出てくる」というメッセージが印象的でした。


最後に、株式会社なんかの代表・森太さんと平野さんが、タブレットアプリ「もじソナ」を紹介しました。もじソナは、読み書き困難の子どもたちのための「代読・代筆」に特化したアプリです。プリントや教科書をカメラで撮影すると、書いてある通りに正確に読み上げてくれます。AIが要約や作り話をせず、そのまま読み上げる点が学校現場での活用を可能にしています。


気づきが最初の一歩

橋本さんは最後に、「マイクラを楽しんでいるお子さんの中で、”ひょっとしたら自分にもその大変さがあるかもしれない”と気づいてくれる子が1人でもいたら、今日の意味は本当に大きい」とメッセージを送りました。

読み書き困難は能力の問題ではなく、道具と環境の問題です。「読んであげれば答えられる」「おしゃべりは得意なのに勉強だけできない」──そんなお子さんが身近にいたら、まずは読んであげること・書いてあげることが一番の支援になります。Minecraftのように文字に依存しない表現の場と、テクノロジーによる学びの選択肢が、子どもたちの可能性を広げています。

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