教育版マインクラフトの
教育効果に関する
研究について
調査で明らかになった創造的態度の伸び。

Minecraftカップでは、東京大学大学院情報学環藤本研究室・渡邊研究室と共同で、教育版マインクラフトを活用した子ども達の教育効果に関する研究を行っています。大会に参加する高校生以下の子ども達を対象に、作品を応募する前後でアンケートを実施し、大会の参加する前後(大会参加前後 or 大会に参加する前後)で「どんな能力が伸びているか」「個人参加とチーム参加で違いはあるのか」といった項目を調査しています。
本研究は2023年度から開始し、研究成果については、大会公式サイトやワークショップイベントなどでお伝えしています。
研究を行う東京大学大学院生、大会事務局メンバー
濱田からごあいさつ

Minecraftカップ運営委員会事務局
教育効果調査担当
濱田 璃奈
東京大学大学院 学際情報学府 修士課程2年。中学生のとき、Minecraftを使って英単語を学んだことを原体験に、大学院で「Minecraft×英語学習」をテーマに研究を行っている。Minecraftカップでは2023年度から、大会に参加する子ども達を対象に創造性の変化を調査。子ども向けにMinecraftを使って英語を学ぶワークショップを開催したり、研究に関する発表を行なったりしている。
教育効果に関する研究を
はじめたきっかけ
Minecraftカップ運営委員会事務局で教育版マインクラフトを使った教育効果の調査を担当している濱田です。私は、東京大学大学院の修士課程の学生でもあります。「遊びの中の学び」をテーマとする藤本徹研究室で、Minecraftを活用した英語学習の研究をしています。

私がこの研究をはじめるに至った理由は、中学校時の経験からです。 私は英語の授業がとても苦手で、自信も全くありませんでした。
その当時は、友達の間でMinecraft(マインクラフト)がとても流行っていた時期で、私も興味を持ってはじめてみました。すると、あっという間にのめり込み、勉強する時間が減って、英語学習からもますます遠ざかってしまいました。
「流石にこのままではいけない。けれど、Minecraftはやめたくはない」と思いながらMinecraftを触っていると、言語設定を変えられることに気づきました。私は「これだ!」とひらめき、すぐに言語を日本語から英語に変えてプレイしてみました。
Minecraftは、アイテムを選択すると名前が表示される仕様になっています。今まで日本語表示されていたものが英語表示に変化し、よく使うアイテムの英単語を自然と覚えていくことができました。理解できる英語が増えることが楽しくて、発音を調べることもありました。

そんな風にMinecraftで遊びながら、英単語に触れる日々を過ごしていたある日、なんと学校の英語の授業でMinecraftで学んだ単語が出てきました。「Coal (石炭)」という単語で、Minecraftでも英語が学べるのだと確信できた瞬間でした。
それから少しずつ英語に対する自信がついてきて、大学院生になった今では、Minecraftを使って英語を学ぶワークショップを開催したり、研究について発表を行なったりしています。

Minecraftで英語を学んだ原体験から、Minecraftを使った効果的な学習方法を広く伝えていきたいと思っています。これからもMinecraftの教育効果についてさらに深掘りするために、Minecraftカップ事務局として子ども達と接しながら、大学院で研究を行っていきます。



Minecraftカップ運営委員会事務局で教育版マインクラフトを使った教育効果の調査を担当している濱田です。私は、東京大学大学院の修士課程の学生でもあります。「遊びの中の学び」をテーマとする藤本徹研究室で、Minecraftを活用した英語学習の研究をしています。
私がこの研究をはじめるに至った理由は、中学校時の経験からです。 私は英語の授業がとても苦手で、自信も全くありませんでした。
その当時は、友達の間でMinecraft(マインクラフト)がとても流行っていた時期で、私も興味を持ってはじめてみました。すると、あっという間にのめり込み、勉強する時間が減って、英語学習からもますます遠ざかってしまいました。
「流石にこのままではいけない。けれど、Minecraftはやめたくはない」と思いながらMinecraftを触っていると、言語設定を変えられることに気づきました。私は「これだ!」とひらめき、すぐに言語を日本語から英語に変えてプレイしてみました。
Minecraftは、アイテムを選択すると名前が表示される仕様になっています。今まで日本語表示されていたものが英語表示に変化し、よく使うアイテムの英単語を自然と覚えていくことができました。理解できる英語が増えることが楽しくて、発音を調べることもありました。
そんな風にMinecraftで遊びながら、英単語に触れる日々を過ごしていたある日、なんと学校の英語の授業でMinecraftで学んだ単語が出てきました。「Coal (石炭)」という単語で、Minecraftでも英語が学べるのだと確信できた瞬間でした。
それから少しずつ英語に対する自信がついてきて、大学院生になった今では、Minecraftを使って英語を学ぶワークショップを開催したり、研究について発表を行なったりしています。
Minecraftで英語を学んだ原体験から、Minecraftを使った効果的な学習方法を広く伝えていきたいと思っています。これからもMinecraftの教育効果についてさらに深掘りするために、Minecraftカップ事務局として子ども達と接しながら、大学院で研究を行っていきます。
研究から明らかになった
教育版マインクラフトの
教育効果について
研究のおおまかな流れ
1Minecraftカップに参加する
高校生以下の子ども達を対象に、
作品を応募する前後で
アンケート調査を実施。
創造的態度の変化やMinecraftに関するスキル、日常生活の習慣などについて幅広く質問しました。(参加者は大会登録後にログインできるマイページから、アンケートに回答)
作品応募前
事前アンケート/
事後アンケート
63問の質問に対し、5段階で最も当てはまるものにチェックする。
質問例:
普段、どのくらいマインクラフトをプレイしていますか。
クリエイティブモードで建物を建てることができる。
かんたんに物事をあきらめない。
強い自分の意見を持っている。
など
2回答いただいた
作品応募 事前/事後アンケートから、
点数(スコア)の変化を調査。
スコアの差(事後スコア−事前スコア)を「伸び」と定義し、参加前と比べてどのような変化が見られたのかを評価しています。分析においては、全体としての平均的な変化だけでなく、参加者の属性(年齢やスキルの自己評価など)や活動の実態(チーム規模やプレイ時間など)に応じた違いにも着目し、子どもたちの創造的態度がどのような要因によって高まったのかを多角的に検討しています。
研究から明らかになった
教育版マインクラフトの教育効果
子ども達の「創造的態度」が
全体的に伸びていた

Minecraftカップの作品応募前後で、子ども達の「創造的態度(自ら問いを発し好奇心を持ち、失敗から新しいものを生み出そうとする力)」が全体的に伸びていることが明らかになりました。(資料1 3Pの図1)

特に、以下の3つは統計的に優位な伸びが確認されました。(資料1 5Pの図2)
- ・柔軟性(物事を多面的に考える力)
- ・持続性(諦めずに取り組む力)
- ・想像性(自由に発想する力)
創造的態度の伸びに
Minecraftスキルは関係ない

Minecraftスキルの分析にあたっては、Minecraftの専門家と協議のうえ、プレイスキルを測定するための指標を表のように策定しました。(資料1 9Pの表3)

Minecraftカップ参加前に自身のMinecraftスキルを「低い」と評価した子どもと「高い」と評価した子どもを比べたところ、創造的態度の伸びに差は見られませんでした。この結果から、大会挑戦がすべての子どもたちにとって、創造的態度を育む場になっていたことがわかります。(資料1 9Pの図5)
通学・通塾頻度も創造的態度の伸びに関係なかった

創造的態度の伸びと学校への登校頻度や学習塾などの通塾頻度には相関が見られませんでした。たとえ不登校であっても、Minecraftカップのような創造的な活動に取り組むことで自己表現や探究の機会が得られる可能性があります。
資料公開
Minecraftカップでは、これまでの研究成果をまとめたレポートを公開しています。
教育効果に関する詳しい内容は、以下の資料をご覧ください。(PDFでのダウンロードも可能です)

(資料1)2024年度研究レポート
第6回Minecraftカップ教育効果の測定
活動報告会の様子
2025年3月26日、日本財団ビルにて「Minecraftカップ2024 活動報告会」を開催いたしました。
大会の1年間の歩みや成果、教育効果に関する研究成果などをまとめた報告の様子を、映像でご覧いただけます。
学会発表の様子
アメリカ合衆国ニューヨーク州バッファローで開催された、第12回国際日本ゲーム研究カンファレンス「Replaying Japan」にて、Minecraftカップの教育効果に関する研究結果を発表しました。
カンファレンスのテーマは「ポストCOVID-19の世界における日本ゲーム研究の保存、革新、新たな方向性」。Minecraftカップ研究チームは、ポスターセッションに参加し「Minecraftに取り組むことが創造的態度の育成にどのような効果をもたらすか」を示した研究結果に焦点を当てました。日本独自の取り組みであるMinecraftカップに対し、海外の研究者たちからは高い関心をいただきました。


参考
「Minecraft × 創造性」の論文紹介
「Minecraft×創造性」の論文紹介
Minecraftと映像制作による
創造的学習の実践と評価Minecraft and machinima in action:
development of creativity in the classroom
本研究では、スペインの中学生85名を対象に、Minecraftと映像制作を組み合わせた8週間の授業を実施し、創造性の変化を検証しました。生徒たちはグループで「夢の家」を設計・建築し、その過程と成果を映像作品として表現しました。創造性は、問いを立てる力や構成力、独自性など「教育的に意味のある創造性」として定義され、テストと作品評価の両面から測定されました。その結果、創造性テストのスコアは有意に向上し、作品も教育的評価基準に基づいて高い評価を受けました。自由な表現を通じて、自分の考えを形にし、伝える経験が創造性の育成に寄与することが示されました。
Minecraftを活用した三次元建築
ワークショップによる創造性の育成
Minecraft: Three-Dimensional Construction Workshop
for Improvement of Creativity
本研究は、スペインの公立小学校で、Minecraftを用いた三次元建築ワークショップ(全8回、各回約1時間)を小学5年生28名に実施し、創造性への効果を検証したものです。児童はグループで建物の設計図を描き、Minecraft内で協力して建築し、作品を発表しました。創造性は「発想の多さ・柔軟さ・独自性・表現の細かさ」といった観点から測定され(Torrance創造的思考検査)、ワークショップ前後で統計的に有意な向上が見られました。Minecraftのような自由度の高いゲーム環境が、初等教育における創造性育成に有効であることが示されました。
特定のビデオゲームが
プレイヤーの創造性に及ぼす影響についてSome Video Games Can Increase the Player’s Creativity
「ビデオゲームは創造性を高めるのか?」という問いに取り組んだ本研究では、大学生を対象に3種類のゲーム(Minecraft、Portal 2(シューティングゲーム)、Serious Sam(パズルゲーム))を30分プレイしてもらい、その前後で創造性(流暢性・独創性・柔軟性)の変化を測定しました。結果として、「柔軟性(視点の切り替え力)」が特に伸びやすいことが明らかになりました。意外にも、自由度の高いMinecraftでは有意な変化が見られず、パズルゲームやシューティングゲームの方が高い効果を示しました。これはMinecraftに効果がないということではなく、慣れていないゲームで操作に戸惑うと、楽しさや集中が得られず、創造性が伸びにくくなったと筆者たちは考察しています。創造的な力を引き出すには、Minecraftにあらかじめ慣れておくような事前準備が重要になってくることが示唆されます。
創造的マインクラフターの
特徴:
Minecraftにおける創造性・独創性・有用性に関連する認知的および性格的要因Creative Minecrafters: Cognitive and Personality Determinants of Creativity, Novelty, and Usefulness in Minecraft
プレイヤーがMinecraft内で建築した作品を、創造性・独創性・有用性の観点から評価し、それに影響を与える性格や認知的要因を調べた研究です。結果として、性格特性「開放性」や空間的な作業記憶力が高い人ほど、創造的な作品を作る傾向がありました。また、内発的動機づけや自己効力感が高いことも創造性と関係していました。Minecraftのような自由度の高いゲーム環境では、物語性やテーマを意識した建築、自分の興味や感情を反映させた作品の制作を通じて、創造性がより豊かに発揮されることが示されました。
教育版
マインクラフトを活用した
教育に興味がある方へ
Minecraftカップでは、大会運営と並行して、全国各地で教育版マインクラフトを使った体験会を行っています。また、企業や自治体と連携して子ども向けのワークショップイベントの企画・運営も実施。以下のページでは、教育版マインクラフトの活用事例についてご紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。

