お知らせ
Minecraftカップから初のプロマインクラフター誕生!「受賞をきっかけに、プロの世界に一歩踏み出すことができました」
2020年度に開催されたMinecraftカップにて、高校生部門 優秀賞を受賞した「なおぴえ」さんが、世界的に人気のサンドボックス型ものづくりゲーム「Minecraft」のゲーム内ストアであるマーケットプレイスにて、作品名「ライブラリーインザスカイ(Library in the Sky)」の販売を開始しました。
マーケットプレイスへの出品は、Microsoftによる厳しい審査が行われ、販売を開始できるのはごく僅か。大人のクラフターでも挫折してしまうこともある、限られた者だけが通れる狭き門です。
そんな狭き門をくぐり抜け、Minecraftカップ参加者から、初のプロマインクラフターが誕生したことを記念して、大会運営委員会では、制作者の「なおぴえ」さんにインタビュー取材を実施。
Minecraftカップに参加した理由や、マーケットプレイス出品までの苦労などについて、お話を伺いました。
なおぴえさんプロフィール
第2回Minecraftカップ(2022年度大会)にて、作品名「科学と社会の学校~学問とICTと自然の融合~」で高校生部門 優秀賞を受賞。受賞後、マーケットプレイス出品を目標に、約3年かけて作品制作に取り組み、2024年7月に新作「ライブラリーインザスカイ(Library in the Sky)」の販売を開始した。現在は、大学の情報表現学科で、CG制作などを学んでいる。
ーMinecraftカップに参加したきっかけについて教えてください。
先生からMinecraftカップについて教えてもらい、「条件や制約がある中で作る建築も面白そうだな」と思って参加を決めました。
Minecraftカップの存在を知ってから、作品締め切りまで2ヶ月ぐらいしかなかったので、けっこう急いで作った記憶があります。
Minecraft(以下:マイクラ)自体は、Minecraftカップに参加する前からプレイしていて、YouTubeの配信者が開催していたマイクラ建築のお披露目会で、自分の作った作品が紹介されることを目標に制作活動をしていたこともあります。
当時は、誰かに自分の作品を見てもらうことが、マイクラに対するモチベーションになっていたんだと思います。
Minecraftカップ応募作品「科学と社会の学校~学問とICTと自然の融合~」
ーマーケットプレイス出品までの流れについて教えてください。
はじめは、友人とチームを組んで大規模な作品を作ろうとしていましたが、制作時間を確保するのが難しく、一度頓挫してしまいました。その後は、自分一人で作品制作を進めていきました。
元々、マーケットプレイスの存在は知っていましたが、「プロ中のプロの世界」というイメージで、手が届かない存在だと思っていたので、自分が出品することは全く考えていなかったです。
しかし、Minecraftカップでの受賞をきっかけにチャンスをもらって、「できるならやってみようかな」と、自分がプロの世界に一歩踏みだすイメージができるようになりました。
実際に、出品作品を作ってみたら色々と反省点もあったので、今後ももっと良い作品を作って、出品していきたいと思っています。
※第2回Minecraftカップ(2022年度大会)では、大会パートナーの「株式会社インプレス」より、優秀賞以上の受賞者に、マーケットプレイスにチャレンジする権利が副賞として与えられた。
ー作品の特徴や、特にこだわった部分はどこですか?
歯車や蒸気が点在するような、スチームパンク風の飛行船型図書館が舞台になっています。
非日常感やファンタジーの要素を入れたくて、船の中は全て図書館にしました。
※スチームパンクとは、SFジャンルの1つ。スチーム(蒸気機関)とサイバーパンクを組み合わせてつくられた造語
設定としては、「文明的な開拓がされていない村に、遠い国から知識を授けるための空飛ぶ図書館がやってくる」というファンタジーもので、異国の不可思議な存在や世界観を表現することにこだわりました。
最初は、建築が好きだったので、とにかく大きな図書館を作ろうと思って制作をはじめました。
けれど、途中で「ただ図書感館を作るだけだと、他の作品と比べて埋もれてしまうかも…」と心配になって、「奇抜で違和感があるようなデザインにしよう」と考えて、飛行船を思いつきました。
ー図書館は、Minecraftカップに応募した作品にも盛り込まれていましたが、なおぴえさんにとって「図書館」や「本」とは、どんな存在でしょうか?
高校生の時から、色んな人がインターネット上で発言している姿を見ていて、信用できるもの/できないものが入り混じっていて「全てが真実ってことは絶対にないな」と思うようになりました。
一方で「本」は、インターネット上の情報に比べると、ある程度情報が整理されていて、しっかりしているように感じます。もちろん、本の内容も更新されていくので、全部が正しいというわけではないですが、インターネットよりは信用はできるな、と。
だからこそ、Minecraftカップに作品を応募する時にも書きましたが、「本という文化を未来に残していきたい」「色んな人にもっと本を手に取ってほしい。読んで欲しい」という思いが、自分の中にあるんだと思います。
ー出品作品を作る中で、難しかった点や大変だったことはありますか?
飛行船の中で1番広くて、内装の1番の目玉の部分ですね。広い空間をどんな風にデザインすれば良いのかについて考えるのが、すごく難しかったです。
最終的には、内装の壁は全て本棚にして、室内から見える歯車が、外から見たら船に突き刺さっているような特徴的なデザインに落ち着きました。
ー作品づくりに行き詰まった時の、解決策を教えてください。
自分が納得するまで、作ってみては壊し、壊しては作っての繰り返し……。
この時間が辛くて、作品制作に対するモチベーションが下がってしまったこともありました。
また、マーケットプレイスに出品する作品は、世界中に公開されるものなので、審査はとても厳しく、一度自分では完成したと思っても修正が入ることもありました。
行き詰まった時の解決策としては、自分の発想だけでどうこうしようとはせずに、参考になる資料などを見て、インスピレーションを沸かせること。
自分1人で考え込むと、本当に全く進まなくなるので。
自分の場合は、近くにある図書館の内装を参考にしたり、海外の大きな図書館の情報を探してみたりしました。
手に入れた情報を頭の中で「この建築様式をこう変えれば、ああなるんじゃないか」と、シミュレーションを重ねることで、少しずつ完成に近づくことができました。
なので、Minecraftカップに参加する皆さんも、作品づくりに行き詰まったら、本を読んだり、実物を見にいったりして、色んな情報に触れてみてほしいです。
自分自身、Minecraftカップに参加している時は、本からひらめきをもらうことが多かったですね。
ーさいごに、第6回Minecraftカップ参加者へメッセージをお願いします。
どんなに無茶苦茶な発想でも良いので、とにかく自分の理想やアイデアを形にすることが大事だと思います。
建築や作品としての問題点を考えるのは、その後で大丈夫。
形にする前に問題点について考えると、結果的に現実的で無難なものになってしまうので、まずは最初に閃いたアイデアを大事にしてほしいです。
その人自身の自由な発想からしか連想できない何かが、絶対にあるはず。
作品を作る時は、あんまり考え込まずに、まずは一旦形にしてみることをおすすめします。
Japan Crafters Union(JCU)のご紹介
【日本のMinecraftを世界へ】Japan Crafters Unionは、Minecraftゲーム内のストアにワールドやスキンパックを出品する、プロマインクラフターたちが集まるコミュニティです。
日本のマインクラフターたちの技術力や発想を全世界に展開し、日本のクラフター文化を多くの人に伝え、海外からも注目されています。
代表は、日本初のプロマインクラフターであり、第1回Minecraftカップからご協力いただいているタツナミシュウイチさんが務めています。
タツナミさんとJCUは、日本のマインクラフターが世界に向けて作品を出品する際、米国のMicrosoftとのやり取りにおいて様々なサポートを行っています。
Minecraftカップより
なおぴえさんのように「まずは、Minecraftカップに参加してみたい」という方は、現在第6回Minecraftカップが開催中です。
作品締め切りは、8月31日 23:59まで。
作品づくりにはじめて取り組む人は、難しく感じてしまう場面もあるかもしれませんが、Minecraftカップでは、必ずしも「クオリティの高い作品」や「プログラミングに優れた作品」を求めているわけではありません。
なおぴえさんの最後のメッセージのように、まずは皆さんのアイデアをMinecraftの世界で形にしてみてください。
Minecraftカップでは、皆さんのアイデアや思いが詰まった作品をお待ちしています!
関連リンク
・なおぴえさん出品作品 『ライブラリーインザスカイ(Library in the Sky)』
・株式会社インプレス プレスリリース「Minecraft カップ受賞者初のプロ作品!『ライブラリーインザスカイ』販売開始」