第6回 Minecraftカップ

「教育版マインクラフト」ってなにができるの?

参加者からの質問や相談が多かった技術的な内容について紹介していきます。

※本記事は、Minecraftカップに参加経験のあるお子さんの保護者の方に執筆いただきました。


「子どもは楽しそうにMinecraftで遊んでいるけど、実際は何をしてるのかよく分からない!」
・・・という保護者の方も多いのではないでしょうか。

筆者も子どもたちがMinecraftで楽しそうに遊んでいるのは知っていたものの、実際どんなゲームかはよく知らないまま過ごしてきました。


しかし数年前に教育版マインクラフトを知り、今ではその魅力にどっぷりはまっています!

当時はインターネットで検索しても”Minecraft”についての動画や記事はたくさんあるのですが、”教育版”についての情報になかなかたどり着くことができず、子どもたちと試行錯誤しながら取り組んだのを覚えています。

「マイクラはプログラミング教育になるってホント?」

「パソコンでやるマイクラと、Switchなどのゲーム機でやるマイクラは何がちがうの?」

「結局、教育版ってなにができるの?」

教育版マインクラフトを知ったばかりの頃に私も感じていたこの疑問。

「ゲームやマイクラには詳しくないけど、教育版マインクラフトを知りたい!」という保護者の方へお届けします!

1.”教育版マインクラフト”ってなに?

教育版マインクラフトとは、その名の通り子どもたちへの学びを目的として提供されているMinecraftです。Minecraftには、主に3つの種類がありそれぞれに特徴があります。

・Java版
パソコンで操作します。MODと呼ばれる改造プログラムを入れることができるため自由度が高く、本格的に遊びつくしたいという方にお勧めです。

・統合版
主にSwitchなどのゲーム機でも使用でき、大多数の子どもたちが遊んでいるのがこちらの統合版です。

・教育版
子どもたちの教育のためにつくられたMinecraftで、学校や児童クラブなどの教育機関で活用されています。

教育版は基本的にパソコンで操作しますが、タブレットやスマートフォンにも対応しています。

ただし、学校のchromebookでも導入されていますので、Java版とは違いハイスペックなPCは必要ありません。
※対応プラットフォーム・PCスペックについては公式サイトでご確認ください。

海外では学校での授業にいち早く導入されており、近年日本でも一人一台端末の導入が進んだことにより、全国各地の小中学校でプログラミング教育や化学、英語学習、SDGs、特別支援教育など子どもたちの学びに取り入れられています。

遊んでいるだけなのに、気が付いたら学んでいた!?という仕掛けがたくさんあるのが教育版マインクラフトの一番の魅力。親であれば子どもには教育版を使ってほしいと思いますよね!

2.マイクラをしてれば自然とプログラミングが身に付くの?

小学校で実施されている文部科学省が掲げるプログラミング教育は「プログラミング的思考を育む」ことや「身近な問題の解決に取り組む姿勢を育てる」ことがねらいです。

例えば、Minecraftの中にあるレッドストーンを使えば回路を設計することができます。

回路を組み、動力を正しく伝えることで自動ドアを作ったり、自動で作物を収穫する装置まで作ることが可能です。

この回路を組み立てるにはプログラミング的思考が欠かせません。

このように子どもたちは、Minecraftで遊びながらにして自然とプログラミング的思考を学んでいます。

Minecraftは一般的なストーリを攻略してゴールを目指すゲームとは違い、遊び方はプレーヤー次第で無限に広げることのできる自由度の高いゲームですので、決められたゴールがない中、自分でテーマを見つけ、表現していくことができるため「探求学習」や「問題解決力」の育成にも非常に効果的です。

プログラミングで作った球体の水族館
PythonやJavaScriptの言語も学べます。本格的にプログラミングを学びたい人に。

さらに、教育版マインクラフトであればもっと効果的にプログラミングを学ぶことができます。

教育版マインクラフトではMakeCode(メイクコード)というビジュアルプログラミングを使って、一瞬で建築物をつくったり、エージェントと呼ばれるロボットに単純作業を代わりにやらせることができます。

遊びを通じてプログラミングの基本的な概念だけでなく、情報社会の構造を知ることもできますね!

更にもっと本格的にプログラミングを学びたい場合は、JavaScriptやPythonのプログラミング言語に切り替えてコーディングすることが可能です。

3.随時更新される様々な種類の教育コンテンツ!

 教育版マインクラフトのすごいところはプログラミングだけではありません。

なんと他にも様々な学習コンテンツがたくさん準備されています。さらにこちらは随時アップデートされていくのです。

科学・数学・英語・コンピューター・ダイバーシティや歴史・アートまで!
教育版だけの元素ブロックを使って化学合成もできます。楽しく元素が学べるなんで今の時代がうらやましい・・・

これからの時代に欠かせないSTEAM教育はもちろん、SDGsや多様性についてもたくさんのコンテンツがあり、ストーリーを進めていくと正解がある答えを導き出すのではなく、”自分自身で考える”仕掛けがたくさん出てきます。

子どもたちが普段生活しているコミュニティの中だけでは決して学べない、世界の広さや多種多様な考え方、文化に触れることができることは大きな学びだと感じています。

コンテンツの中には日本語に対応していないものもありますが、アクセシビリティの機能を使うことで翻訳や読み上げが可能です。英語やPCリテラシーも自然と身についてしまいそうですね。

4.まずはデモレッスンを親子で体験してみよう!

遊びながら自然と学びに繋がっている教育版マインクラフト。とっても魅力的ですよね!

ただし、教育版マインクラフトを使うには、Microsoftの組織アカウントを取得する必要があります。

ご家庭や個人でも取得・購入することはできるのですが、やや手続きが複雑で不慣れな方にはちょっと難しいと感じるかもしれません。

※詳細は別記事『教育版マインクラフトのはじめ方』をご参照ください

でもご安心ください、教育版マインクラフトのアプリは誰でもダウンロードすることができるんです!

アカウントを持っていなくても無料で体験できるデモンストレーションがいくつかあるので、まずは気軽に親子で体験してみることをおすすめします。

まずはアプリをダウンロード!
利用規約に同意するとプレイできます

筆者も子どもたちがパソコンを使って教育版マインクラフトで遊んでいるのを後ろから眺めたり、たまに一緒に遊ばせてもらうのですが、いつの間にか元素記号を覚えて「花火は、塩化カリウムとマグネシウムで作れるんだよ」と教えてくれたり、「めんどうだから、プログラミング使う」とあっという間に水族館をつくったりと本当に驚かされています。

子どもたちは「勉強している」なんで微塵も思っていないんですよね。

興味のあることや楽しいことなら自分からどんどん吸収していくという、子どもたちみんなが持っているパワーで、これが本来の学びの姿だなと感じます。

なんといっても、自分の想いやアイディアを自由に表現できるのはMinecraftならではの魅力!

自らゴールを決め計画を立てて創造を進めていく子どもたちの生き生きとした表情を横目に、今では私も教育版マインクラフトのとりこになっています。

保護者のみなさんも「ゲームはよくわからないし・・」と尻込みせず、子どもに教えてもらいながら、うっかり建築を壊しちゃって怒られながら、ぜひ子どもたちと一緒に教育版マインクラフトをはじめてみてください!

<執筆協力:櫻井 彩>

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